茶室のようなシャンプー台
くぐって入ると、時間の流れが変わる。

シャンプースペースは、茶室をイメージした設計です。頭を少しかがめ、低い入り口をくぐって入る。にじり口をくぐると外の世界といったん距離ができる、あの感覚に近い造りになっています。
施術席とのあいだに視線が交わらないよう、壁の高さが計算されています。椅子に身を預けた瞬間、まわりの気配がやわらかく遠ざかる。コンクリートブロックを積み、表面を削って整えた壁が、頬をなでる湯気と静かに響き合います。
日替わりのお香が、ふわりと鼻先をかすめます。音数の少ない音楽は、その日の空気に合わせて選んだもの。手のひらに広がる湯のあたたかさとともに、五感がひとつずつ、静かにやわらいでいきます。視界を閉じれば、ここがビルの3階だということも忘れてしまう。
気づけば眠っていた。そんな声をよくいただきます。カットやカラーの合間にある、ただ身を預けるだけの数分。何かをするためではなく、ほどけるためだけにある時間が、その日いちばん深い休息になります。